コーヒー(無糖)は虫歯にならないか
こんにちは、スウェーデンデンタル仙台院長の山田です。
先日、ある患者さんと有意義なディスカッションをすることができましたので、
共有したい思います。
その患者さんは、虫歯が多発しており、虫歯のリスク(なりやすさ)が高そうでした。
コーヒーを常飲されているとのことで、私はてっきり加糖のコーヒーを飲まれているのかと思い、
コーヒーの量を減らしてみてはいかがですかと提案しました。
すると、患者さんは無糖だから大丈夫ですとのこと。
確かに一理あります。
ただ、専門的に言いますと全く関係ないとも言いきれません。
まず第一に、無糖コーヒーのみをでしたら確かに問題ありませんが、
おかし等を一緒に召し上がる場合は、虫歯菌のエサである糖がお口に入ってしまいます。
次に、コーヒーは酸性のため、長時間お口の中にとどまれば歯を溶かしていきます。
(歯はpH6くらいで溶けはじめます。ちなみにコーヒーは5程度、コーラは2程度です。)
ここで注意して頂きたいのは、だからと言って酸性の食べ物、飲み物を控える必要はありません。
一時的にお口の中が酸性やアルカリ性になっても、唾液のもつ働き(緩衝能)で自動的に中性に戻ります。
さらに再石灰化と言って、顕微鏡レベルで歯が溶けたとしても、唾液が修復してくれる働きもあります。
(虫歯の穴など目に見えるレベルになってしまうと再石灰化は期待できず、詰め物で補う必要があります)
このようにお口(唾液)は便利な働きがありますが、酸性のものが常にお口の中にある状態が続きますと、
中性にもならず、再石灰化も起こらず、歯が溶け続けていってしまいます。
これは厳密にいえば、虫歯ではなく酸蝕という別な病態ですが、
もともとある虫歯の進行を早める可能性は十分にあります。
患者さんとの何気ない世間話から、専門的なお話をすることができて、
うれしく楽しい時間を過ごすことができました。